雨のち晴れ

自由帳

立憲主義と解釈改憲〜同性婚訴訟から〜

こんにちは!


同性婚訴訟、どうなるでしょうねぇ。
裁判の経過をよく見ておきたいですね。

Twitterを見ていると同性婚を認めるのにも2つの立場に大別されると思います。
憲法改正を経て同性婚を認める立場」と「憲法改正を経ないで同性婚を認める立場」の2つの立場の対立です。僕は前回のブログで憲法24条は同性婚を禁じていないから憲法改正を経ないでも同性婚は可能であるというような内容の記事を書きました。以下にリンクを貼っておきますね。

yuki-h.hatenablog.com

 
憲法改正派は「立憲主義」「解釈改憲に反対」の立場から同性婚を認めるためには、憲法改正が必要であると主張しているように感じます。他の例だと、憲法を改正してから同性婚を認めた方が国民の理解が得られる、権利を自分たちで勝ち取ったという事実を残せるなどがあるようです。

今回は憲法改正派の様々な意見の中から先ほど挙げた「立憲主義」「解釈改憲に反対」の意見をピックアップして、その2つを考慮しても憲法24条が同性婚を禁じていない理由を書きたいと思います。


立憲主義とはなにか>

立憲主義について簡単な説明はないかと考えていたら、弟が使っている東京書籍版「現代社会」に立憲主義の説明がありました。以下に引用します。

立憲主義とは、政治はあらかじめ定められた憲法の枠の中で行わなければならないというものである。さまざまな法のなかでも憲法は、ほかの法がつくられる際の原則や手続きなどを定める点で、法のなかの法という性格をもつ(最高法規性)。国家権力は憲法によって権限をさずけられ、国家権力の行使は憲法により制限される。憲法は、個人の尊厳が目的とされ、人間らしい生活を保障するものであり、政治権力がそうした目的に違反することは、憲法によって禁止される。そして、国民の権利が国家によって侵害された場合には、司法などによって法的な救済がなされることになる。

 はじめて立憲主義の説明を読んだ時に「民主主義」とは意味合いがまた違うなと感じました。立憲主義憲法に基づきその枠のなかで民主主義が行われているイメージなのかなと。立憲主義と民主主義、お互いに対立はしないけど緊張感がありますね。

ここで話を同性婚に戻します。立憲主義に基づくのなら憲法24条1項に定める「婚姻」は男女間のものであり同性間について規定したものではない、また、条文立案過程から男女平等や女性の権利尊重を強調したものであるから同24条1項は同性婚を禁じていないと理解できると思います。この点の詳しい話は最初に貼り付けたブログを読んでいただければ多少は理解できると思います。

さらに、「憲法は、個人の尊厳が目的とされ、人間らしい生活を保障するものであり、政治権力がそうした目的に違反することは憲法によって禁止される」とするのなら憲法24条1項を理由に同性婚を禁止することは同13条、14条と整合性が取れなくなると思います。


解釈改憲同性婚

同性婚改憲派の主張に「解釈改憲での同性婚容認はダブルスタンダード(以下タブスタ)になり認められない」というものがあります。

結論。タブスタにはならない。

その理屈をサラッと書きます。

憲法は統治規定と人権規定に大別できます。

・統治規定とは、国会、内閣、司法、財政、地方自治など。

・人権規定とは、国民の権利及び義務など。

詳しい条文は各々で読んでほしいんですが、ざっくりわけるとこうなります。条文を解釈する上で、統治規定は「厳密な字義解釈が必要」であり、人権規定は「書かれている禁止規定は守られた上で、書かれていない事に関しては禁止されていない」という憲法学上のルールが適用されます。と、大学で教わりました。

例を挙げますね。例えば、日本国憲法の立案過程において「環境権」を想定していませんでした。時は流れ、都心にマンションが多く建設されるようになり部屋からの眺望が悪くなった結果、訴訟に発展するケースが出てきました。しかし、先ほども書いたように憲法には環境権についての条文はありません。どうしたかというと、人権の包括規定である憲法13条などを根拠に判例や立法措置よって環境権が認められるようになりました。

このように人権規定に関しては、禁止されていないことは人権保障の観点からより積極的に認められるとします。

逆に統治規定に関しては、国家権力を縛るという意味で書かれていることしかやってはいけないとなります。

同性婚に話を戻します。

憲法24条1項ができた当時、同性婚は想定されていませんでいた。それは、GHQ草案や立案過程を見ればわかる事です。日本国憲法が1947年5月3日に施行されてから72年の時が経ちました。世界の状況や日本国内の状況も施行当時とは違います。当時の立案過程をみるに、憲法24条1項が同性婚が禁止されているとは言えません。禁止されていないのなら積極的に権利として保障されるべきだと思います。


<まとめ>
最近、同性婚のことばかりですね。

同性婚なり法的効果がある登録パートナーシップ制するなりそれを法律に落とし込むには時間がかかるわけです。今、裁判していますが1年で判決まではいかないでしょう。仮に3年かかって法案が施行されるまで2年で5年です。

憲法を変えるのも悪くはありません。しかし、現実味が全くありません。自民党同性婚や登録パートナーシップ制に消極的です。憲法は72年変わってません。一度も。もっと現実を見るべきです。

例えば、ご高齢もしくはご年配の当事者カップル、事情がある若いカップル...時間がないと思います。自民党が進める理解促進法で理解を促進したら同性婚や登録パートナーシップ制を考えますという主張。現時点で、時間がない人たちは見捨てるのでしょうか。

政治って...。