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自由帳

憲法改正を経ないで同性婚を導入したスペインの事例

こんにちは。

日本の憲法24条1項に似た条文をもつスペイン憲法を見つけました。どうやら、憲法改正を経ないで同性婚を導入したようです。今回はそのことについてサラッと書きます!


<スペイン憲法

32条1項「男女は、法律上完全に平等に、婚姻する権利を有する」
   2項「婚姻の形式、婚姻の年齢および能力、夫婦の権利および義務、別居および離婚事由、ならびにその効果については、法律でこれを定める」

日本国憲法

24条1項「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない」
   2項「配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない」


<スペイン憲法32条1項とスペイン憲法裁判所の解釈>

こうスペイン憲法日本国憲法の婚姻に関する条文を比較すると、内容がとても似ていることがわかりますね。スペインはスペイン憲法32条を改憲することなく同性婚を導入しました。どういう理屈で導入したのか、次に続きます。

スペイン憲法32条1項を忠実に解釈すると「婚姻」とは「男女」を前提としているというのが通説でした。また、同32条1項の立法目的は日本国憲法24条1項ととても似ていて、夫婦間で不平等が生じていてその不平等を解消するために、また、男女平等を実現するという目的がありました。

1997年、スペインの憲法裁判所はスペイン憲法32条が規定する婚姻については男女間の権利であるため、同性カップルにその権利を適用できないが、婚姻により男女カップルが得られる利益について同性カップルも利益を得ることは許されているとしました。また、具体的な立法措置により男女カップルの配偶者が有している権利について同性カップルのパートナーに対しても同様に保障されるべきである判示しました。

そして、2012年にスペイン憲法裁判所は同性婚を認める民法の規定はスペイン憲法32条に違反しないと判断しました。同性カップルがスペイン憲法32条を根拠に婚姻する権利を要求することは認められないが、法律において同性婚を認めることは許されるとしました。そう判断した根拠して、比較法の観点から同性婚も婚姻に含まれる、国際的に拡大しつつある婚姻概念にしたがい解釈することはスペイン憲法32条における解釈の範囲内である、としました。また、憲法裁判所は憲法制定時に同性カップルの婚姻を想定していないことを認め、異性愛ということは婚姻の重要な要素ではなく、そのような考え方は、婚姻の「伝統的な考え方」に過ぎないと述べました。

<まとめ>

日本においても同性婚を導入する場合、憲法改正するのかしないのかの議論があります。日本国憲法24条1項「両性」、そこをどう解釈するかについて僕は「両性=男女」という解釈の立場です。そう解釈した方が理屈に合っていると思うからです。そうなると、憲法24条は男女の婚姻の規定になります。男女の規定ということは同性は対象外です。スペイン憲法裁判所が示したロジックと同じです。スペインが民法同性婚を法制化したように、日本におても民法と戸籍法の改正で同性婚は可能になります。